オーガニックの価値を、ソーシャルベネフィットへ。

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世界で禁止される日焼け止め。海洋生物への影響とは?

ドイツ在住、IOBメンバーの金広美です。

さて、前回は「危険な日焼け止め成分」の【人体への影響】をお話ししましたが、今日はその第二弾。日本ではまだあまり知られていない【環境への影響】についてお話しします。

紫外線防御成分によるサンゴ礁への影響

昨今、多くの研究で海洋生物に毒性がある「紫外線防御成分」が明らかになってきています。そんな成分を含んだ日焼け止めが日々海へと流れ込み、その量なんと年間6,000~14,000トンと推定されています。 

もっとも影響が大きいのはやはり日焼け止めを塗って海に入ることですが、それだけではなくシャワーで洗い流した廃水からも多くの紫外線防御成分が海へ流れ込み、現代の発達した廃水処理システムでさえこの汚染物質が海に流れ込むのを防ぐことはできないと言われます。

そして、それらの毒性成分によって懸念されているのが【サンゴ礁への影響】。

サンゴ礁は「海のオアシス」とも呼ばれ、様々な海洋生物に住処や産卵場所を提供し、海洋生態系の中で非常に重要な役割を果たしています。また、サンゴ礁は海水のCO2濃度を調整する海には不可欠な存在。要は、海洋の生き物たちの暮らしを守ってくれているのがサンゴ礁なわけです。

しかし、サンゴ礁がなくなることで影響を受けるのは実は、海洋生物だけではありません。私たち人間の生活にも恐ろしい影響が待ち受けていることをあなたは知っていますか?

たとえば、サンゴ礁は上述のように海洋生物の暮らしを守っていますが、具体的には地球上の25%以上、種にして9万種以上の海洋生物の生態系を保護しています。つまり、サンゴ礁がなくなることはそこに依存する大規模な種の絶滅に繋がるということ。

海洋生物の絶滅・・・。この地球上では5億人が漁業を通じて生計を立て、40億人が魚からタンパク質を得ている現代、サンゴ礁の消滅は重要な食料源喪失をもたらし人間の生活基盤を脅かすのです。

さらにサンゴ礁は「バリアリーフ」とも呼ばれるように、高波を和らげる防波堤としての役割もあります。これにより、海抜10m未満の沿岸地域に住む約1億人が恩恵を受けている可能性が示唆されています。

知っておきたいオキシベンゾンの毒性

このように、人間を含めた生き物に計り知れない価値があるサンゴ礁を危機的状況に追い込んでいるという紫外線防御成分。その中でも特に、合成化学物質である「オキシベンゾン」はもっとも集中的に研究され、その毒性が指摘されています。

2015年の時点で、「少なくとも地球全体の10%のサンゴ礁と、40%の沿岸サンゴ礁がオキシベンゾンの毒性にさらされている危険性がある」という研究結果が発表されました。

オキシベンゾンは次のような毒性が明らかになっています。

・様々な種の硬質サンゴ細胞の漂白化
・サンゴ幼生の損傷と変形
・サンゴの免疫力を低下させる
・サンゴのDNAとその繁殖生態へのダメージ
・共生藻類に潜伏感染したウイルスの活性化

そんなオキシベンゾン、日本の大手メーカーの日焼け止めにもよく配合されるように、日本、欧州、米国では6%までの濃度で使用可能とされています。

なので一見、環境へ影響を及ぼさない値が各国で規定されているかのように見えますが、しかし実際には、ハワイのサンゴ礁地帯で行なわれた測定では、サンゴ幼生に影響を与えるレベルの12倍の高濃度でオキシベンゾンが検出されていたり、パラオのジェリーフィッシュレイクでは、紫外線防御成分による化学物質が高濃度で測定され、さらにはまだ観光地化されていない他の湖までにもその影響が及んでいたことがわかっているのです。

つまり「市販される日焼け止めに配合されているのだから安心」とは決して言えない状況なのです。

危険な日焼け止めを規制する世界の取り組み

しかし、このような最悪の状況を打開するため世界はすでに少しずつ動き始めています。そこでここでは、日本ではあまり知られない世界の取り組みを数例ご紹介しますね。

【ハワイ】
ハワイ州全域でオキシベンゾンを含む日焼け止めの販売を禁止するための法案が成立。2018年に州議会がすでに法案を可決しようという動きを続け、2021年の施行を目指しています。

※本法案はオキシベンゾンだけではなく同じくサンゴ礁に有害とされる「オクチノキサート」(日本語成分名:「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」)も使用禁止の対象としています。

 【ボネール島(カリブ海)】
2018年、オキシベンゾンのサンゴ礁への脅威について認識を高めるためのセミナーを開催。ボネール島におけるすべての日焼け止め製品小売業者へオキシベンゾンフリーの製品のみを販売するよう奨励。

【メキシコ】
メキシコの海洋公園「シカレ海洋公園(Xcaret)」、「シェルハ海洋公園(Xel-Há)」、両生態保護区では、オクトクリレン・ベンゾフェノン(オキシベンゾン)・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンといった、有害化学物質とされる紫外線防御成分を含む日焼け止めは使用できません。訪問者は上記の成分を含む日焼け止めを持参した場合、海洋公園の入り口で一時的に日焼け止めを預け、退園時に返却されるというシステムです。

本日は、日焼け止め成分の【環境への影響】についてお話ししました。このブログをお読みくださるオーガニックコスメに興味を持つみなさんには、「あなたのコスメの選択一つが環境を守る手段となりうる」というその重要性を知り、ぜひこれからの商品選定基準に加えていっていただければと思います。

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