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空前のオーガニックブーム!まだ伸びる?
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オーストラリアではどこのスーパーマーケットでもオーガニックのコーナーがあり、新鮮なオーガニック野菜や加工食品を手軽に購入することができます。今やオーガニックは空前の大ブームとも言えそうですが、果たしてこれは一過性のトレンドなのでしょうか?
今回オーストラリアで一番大きなオーガニックのエキスポ「Naturally Good」に行ってきました。オーストラリアのオーガニック国内売上高は2017年16億7,000万ドル、2018年19億3000万ドルと年々巨大な市場へと変貌を遂げています。(注1)このエキスポに参加して、まだまだ成長し続ける市場であることがわかりました。
それはこのエキスポに初めて訪れた人の数が全体の68%だったこと、インターナショナルの来場者が去年と比べて27%もアップしていることからわかります。(注2)
今日はそのエキスポで出展されていた様々なオーガニック商品のご紹介とともに、オーストラリアのオーガニック市場のトレンドについて考えてみたいと思います。
オーストラリア最大のオーガニックエキスポ「Naturally Good」とは
Naturally Goodはオーストラリアシドニーで年に一回行われるオーガニック見本市です。
南半球最大のオーガニック、ウェルネスイベントとして今やオーストラリアだけではなく世界各国からのバイヤーが訪れる大きなイベントとなっています。
健康関連、自然食品、オーガニックフードなどの小売業、スーパーマーケットや薬局などの企業、カフェやレストラン、ホテル、ケイタリングなどの飲食業、ナチュロパスや栄養士、鍼灸や指圧の施術者まで、様々なビジネスを対象としています。
私は今回3度目となる訪問ですが、今年のトレンドを写真とともにご紹介したいと思います。
fa-check-square-o2020年1月世界最大サステナブルファッション専門展示会「Neonyt」視察レポートはこちら
今年のトレンド、やっぱり食品、ベビーグッズ、そしてプラスチックフリーも
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全体的に見て、やはり例年のごとく食品食材のブースの数が一番多く、それぞれ賑わっていました。
特にオーストラリアのオーガニック食材を原材料に加工した醤油やお酢などの調味料、ラーメンやライスヌードルなどアジアンフード加工食品は勢いを増すばかりです。これはオーストラリアが移民の国であり、アジアの国々を母国に持つ市民が非常に大きいこと、近年韓国、中国からのバイヤーが急激に増えていることが背景だと思われます。
そして、オーガニックベビーフードやオムツ、おもちゃなどの赤ちゃんグッズも新しい大きなトレンドになっています。若い夫婦が子どもたちの健康について最善の取り組みをしたいと思っていることがわかります。
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また、商品パッケージがごみゼロ、プラスチックフリーになるよう配慮された商品は去年と比べてすごく増えていたことを感じました。しかしながら、パッケージ業者の出展は数店舗ほどのみで、そのほとんどが「紙袋」が並んでいるブースでした。パッケージに関しては今後、新しい技術を生かした素材がどんどん出てくることが期待されます。
オーストラリアのオーガニック市場の成長に関して、認証団体オーストラリアオーガニックの会長であるアンドリューモンク氏は「オーガニックに興味を持つオーストラリア人が増えたからだ」としています。
「彼らがオーガニックを選ぶ大きな理由は自分たちの健康を守るため。そして、同時に環境と動物の福祉について懸念を示していること。人々は自分たちが購入している食材にどんな誠実さ、安全性が配慮されているかを考えるようになった」と言っています。(注3)
その一方で「フェイクオーガニック」と呼ばれる商品も増えています。ナチュラルや自然を謳いながらも、実は「オーガニック人気」にあやかりたいだけで、「自然の循環やフェアトレード」には配慮の無いビジネス。そしてナチュラルな循環を目指しているが、コストを下げるために完全なオーガニックにしていないビジネス。
こう言った業者のブースが入り混じったエキスポでしたが、その熱気は確実にこれからも益々オーガニックが支持される市場に成長していくことを感じさせました。
オーストラリアの気になるオーガニックトレンド商品Top5
The White Pigeon Saidの手作り&自然素材から作られた薬効効果のある商品たち
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子育てをしながら大学で生化学の勉強をしていたタミーさん。勉強するうちに自然の素晴らしさに気づき、その後重い病気を患って、洗剤や化粧品などの化学薬品が身体にどんな影響与えていたかに気がついたそうです。
彼女はトキシックフリーレボリューション(毒なし革命)を起こそうとこの会社を立ち上げました。
どれも手作りで自然素材から作られた薬効効果のある商品ラインナップです。脇の下に塗るデオドラントバー、風邪をひいて鼻が詰まったときに胸元に塗るブレスイージー(呼吸が楽になる)クリームなど。パッケージもゴミを増やさないように配慮されています。
The White Pigeon Said
https://www.thewhitepigeonsaid.com/
RetroKitchenのナチュラルクリーニングキット
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ふたつ目はレトロキッチンの自分で作るナチュラルクリーニングキット。
実験室みたいな茶色ガラスのスプレーボトルがふたつと、3種類の精油。そしてキャッスルソープがセットになっています。クリーニングキット作り方の小冊子も入っています。
有毒な化学物質が一切入っていない安心安全なお掃除グッズを自分で手作りできる。しかもおしゃれなパッケージで女子には大人気になる商品だと思いました。
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この商品もプラスチック素材を使わないごみゼロに配慮されたパッケージです。
RetroKitchen
https://retrokitchen.com.au/products/make-your-own-all-natural-cleaning-kit
CocoWhip ココナッツやタピオカを原料にしたソフトクリーム
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ココナッツやタピオカを原料としたソフトクリームです。乳製品を使っていないのでヴィーガンフレンドリー。グルテンフリーそしてプロバイオティクスもブレンドしてあり、夏には欠かせないヘルシースナックとなるでしょう。
とろりとクリーミーで爽やかな甘さ。後味も通常のソフトクリームと比べるとさっぱりとしています。いろいろなフレーバーが出ていて、オーストラリアでは今あちこちのお店で購入することができる人気商品です。
CocoWhip
https://cocowhip.com.au/
SWAG プラスチックフリーな野菜保存袋
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冷蔵庫で野菜を新鮮に保つための商品です。中に綿の入った布生地の袋を水で濡らして絞ったあとに野菜を入れて冷蔵庫に保存します。水分が野菜を新鮮に保つ仕組みです。
この商品の素晴らしいところは、洗って繰り返し使えるプラスチックフリー商品であること。素材はオーガニックではありませんが、漂白処理をしないナチュラルな色のコットン生地を使っています。
3年前に販売開始され、そのコンセプトとスタイリッシュなデザインで今やオーストラリア中のヘルスフードショップで購入できるくらい人気商品になっています。
SWAG
https://www.theswag.com.au/
EcoMax ココナッツ繊維でできた自然分解されるフェアトレードブラシ
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スリランカのココナッツ繊維を使ったブラシたち。すべてハンドメイド、プラスチックフリーそして、すべての過程でフェアトレードの原則に従って作られた商品です。
ナチュラル素材を使っているので、処分するときはコンポストにいれると自然分解されます。ブラシを立てている容器も、スリランカのハンドメイド。外側は紙、内側に天然ゴムが貼られた植木鉢です。サステナブル&リサイクル材料だけを使って作られています。
EcoMax
https://importants.com.au/
びっくり仰天ユニーク商品もご紹介
●EDIBLE BUG SHOP スーパーフードのトレンド 昆虫食
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オーストラリアの原住民、アボリジニがブッシュフードとしていも虫やアリを食す文化があることは広く知られていますが、昆虫食は今やエコフレンドリーなタンパク源としてスーパーフードのトレンドでもあります。
ブース店頭ではコオロギ粉を使ったスイーツがたくさん並んでいました。カリカリにローストしたコオロギやいも虫はBBQフレイバーなど味付けされて手軽なスナック菓子にもなっています。
EDIBLE BUG SHOP
https://ediblebugshop.com.au/
●PRoPPR 自然な排便を促すトイレ用フットレスト
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オーガニックでは無いですが、自然でホリスティックな健康グッズとして紹介されていたのはPRoPPR。「トイレに必須のフットレスト」が売り文句です。
排便リズムを整えることが健康の第一ステップと言われますが、洋式トイレでの排便は大腸から直腸に角度が出来てしまい、排便リズムを乱す原因だと言われています。このPRoPPRをトイレの前において足を載せれば大腸から直腸がまっすぐになり、自然な排便を促せるのです。
日本では和式トイレが理想のスタイルですが、近年は和式トイレも少なくなりました。このようなフットレストを使用するのも健康に一役買いますね。
PRoPPR
https://theproppr.com/
どんなオーガニック商品を選ぶかは、あなたの「軸」が決める
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さて、オーストラリアのオーガニック、ウェルネス市場のトレンドをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。今回ご紹介できませんでしたが、その他にも様々なユニーク商品のブースがでていました。
エキスポのよいところはその商品の開発者や、ビジネスオーナーから直接話しを聞ける機会があること。話しを聞いていると、オーガニックをただのビジネストレンドと考えているのか、情熱を持って社会をよくして行こうという気持ちでビジネスをしているのかがよくわかります。もしかしたらその商品は100%オーガニックでは無いかもしれない。でも、「社会をよくしていこう」という熱い想いを持った人たちが最大限の努力のもと、作っている商品なのであればベターチョイスになると思うのです。
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オーガニック商品を選ぶときに自分の目を持つ。
選ぶための「自分軸」を持つことはとても大切です。今後、商品を選ぶときの基準として、当記事を参考にしてみてください。
また、IOBオーガニックビジネス研究所では、オーガニックに関する様々な情報を無料メール講座にて発信しています。オーガニックの知識を深めることは、「自分軸」を育む大きな手助けになるはずです。
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世界のオーガニック最新トレンドまるわかり!拡大する世界の有機農業とオーガニック市場を統計データで理解する
参考資料:
(注1)Australian Organic(Nov 2019). 6th Annual Australian Organic Industry Awards 2019 Winners Announced(最終アクセス日:2019年12月10日), https://austorganic.com/6th-annual-australian-organic-industry-awards-2019-winners-announced/
(注2)Naturally Good. (n.d.). Naturally Good 2019 Post Show Report(最終アクセス日:2019年12月10日), https://naturallygood.com.au/wp-content/uploads/2019/07/Naturally-Good-2019-Post-Show-Report.pdf
(注3)Naturally Good.(Sep 25, 2018). Australians are hungry for organic food and drink(最終アクセス日: 2019年12月10日), https://naturallygood.com.au/food-drink/australians-are-hungry-for-organic-food-and-drink/