あなたは甘いものやお砂糖はお好きですか?

私たち人間が初めて甘いもの(糖分)を口に含むのはお母さんの母乳です。それは私たちが生きて活動するためのエネルギーに使われるものです。
実はアトピーなど慢性疾患を患っている方はその傷ついた臓器の修復のためにも常にエネルギーが必要となっています。

今回は、私たちが健康を維持するのに重要な栄養素である糖分の代表、砂糖についてお話ししたいと思います。

Contents

健康を考えるうえで外せない「隠れ砂糖」の存在

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隠れ砂糖の存在を知っていましたか?
オーガニック生活を目指している方であれば砂糖の摂りすぎは健康に害を及ぼすことはよくご存じだと思います。

日本人が1日に摂取する砂糖は平均69g(ナショナルジオグラフィック日本版2013年8月号より)。WHO(世界保健機関)では体重50キロの成人に対し、1日25gを目安にするよう呼びかけていますので、その倍以上の量になります(2015年3月4日発表Sugars intake for adults and childrenより)。

ここでいう砂糖とは、砂糖そのものだけでなく、もっと身近なところで多量に使用されている甘味料(砂糖)を含んでいます。

例えば、スナック菓子、清涼飲料、乳製品。ケチャップなどの調味料やドレッシングなどのソース。冷凍食品やインスタント食品、パン、ジュース、缶コーヒーや紅茶。さらには、パスタソース、豆乳、ピーナッツバターなど、挙げればきりがないほどですが、なんとお茶漬けの素にまで砂糖が入っていたりするのです。
皆さんご存じでしたか?

WHO目安の砂糖摂取量25gは、実はペットボトルのオレンジジュースを1本飲んだだけで、あっという間に超えてしまいます。また、加工食品に入っている糖の多くは遺伝子組み換え作物を原料とした人工甘味料でもあります。

体重が軽い子どもであれば、少量の加工食品を取っただけで、砂糖摂取率が成人より大きくなります。そのため、大人より健康被害のリスクが大きくなることは、言うまでもありません。

砂糖が引き起こす問題を360度の角度から見てみる

砂糖を取りすぎるとどんな問題がでてくるでしょう。一度あらゆる角度から、砂糖について考えてみます。

ここでは、砂糖にまつわる問題点を3つのポイントから見ていきます。

  • 健康に関する問題点
  • 環境に関する問題点
  • 社会に関する問題点

健康に関する問題点

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まず健康に関する問題点ですが、よく知られているのは肥満や虫歯、糖尿病の原因になるというものです。ですが、砂糖がアトピーや鼻炎などアレルギーの症状を悪化させていることはご存じでしょうか。

それ以外には、骨がスカスカになる骨粗鬆症、躁鬱病などの精神疾患、心臓病の原因とも関わっているとされています。

なぜ、砂糖はこんなにも健康的な問題を抱えているのでしょう。
それを知るには、砂糖がどのように作られているのかを知ることが大切です。

砂糖の原材料はサトウキビと、てんさい(砂糖大根)です。この原料を精製したものが砂糖になります。

採取した原材料を絞ってジュースにし、そのジュースに石灰を加えたり、炭酸ガスを吹き込んだりと添加物を使用した精製処理を何度も繰り返し、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの健康維持には欠かせない栄養素を「不純物」とみなし、徹底的に取り除きます。
そうすることで、砂糖は無色透明になり、臭いもなく、長期保存できる粉末になるのです。

砂糖を食すると喜ぶのはお腹の中にいる常在菌、カンジタ菌です。カンジタ菌が増殖すると、大腸菌などのいわゆる悪玉菌と呼ばれる菌たちと同調します。その結果、腸内細菌のバランスが乱れ、リーキーガット症候群と呼ばれる症状を引き起こし、食事で摂取した栄養の消化・分解・吸収に悪影響を与えることになります。

また、カンジダ菌はマイコトキシンという毒性の老廃物を分泌し、免疫系を弱めます。これがアトピーをはじめとしたアレルギー症状を悪化させている原因です。

精製された白い砂糖は、吸収がとても早いため、身体に入ると急激に血液中の糖濃度が高まります。このままでは身体にとって危険な状態となるため、インスリンというホルモンが分泌されて糖濃度を薄めます。
このような血糖値の急激な上昇と乱降下の繰り返しを「血糖値スパイク」と呼びます。このスパイクが長年積み重なると血管が劣化して動脈硬化がすすみ、高血圧、血栓、脳梗塞や心筋梗塞へとリスクが深刻になっていくのです。

そして特記すべき点は、多くの海外ではサトウキビや甜菜糖が遺伝子組み換え作物として育てられている点です。

実は日本の主な砂糖の輸入相手国であるオーストラリアでは、遺伝子組み換えサトウキビの作付けは許可されていません。その点から日本国内で精製された砂糖は比較的安全かもしれません。ですが加工食品となると、どの国で作られた砂糖を使用しているかは分からないことから、リスクはさらに高くなります。

遺伝子組み換え食品が健康に与える影響は未だ解明されていません。私たちはこれらの砂糖をできるだけ摂取しないことで健康被害を予防するしかないのです。

環境に関する問題点

代替えテキストサトウキビ畑農薬pixabay

 

次に環境的な側面からも砂糖を見てみましょう。

世界最大のサトウキビ原産国はブラジルです。サトウキビは熱帯地域で育ち、背丈は3mから6mほどにもなります。お米と同じく、雨のよく降る暖かい湿地帯で育ちます。

現代的な農業は広大な土地で、一種類の作物だけを育てる方法が主流になっていて、サトウキビも同じように育てられます。このように単一の作物だけを広範囲で育てると、土の中の栄養素の一部だけが極端に欠落したり、ある特定の虫が大量発生するため、殺虫剤や化学肥料などの農薬が欠かせません。

殺虫剤や化学肥料で汚染された土は、水脈を通ってその土地の水を汚染します。その水で川や海の生態系のバランスが崩れます。人間が飲む飲料水にも影響するでしょう。

また、サトウキビを育てるためには大量の水が必要となります。1kgの砂糖を作るのに、1500ℓもの水が必要になると言います。それは人が2年以上かけて消費する飲料水と同じくらいの量とされています。

2019年のブラジル森林火災のニュースは記憶に新しい方も多いでしょう。こういったサトウキビなどの作物を育てるために、美しいアマゾンの生態系が崩れ、私たち地球人が生きていくために必要な酸素を供給している森林がなくなり、温暖化がどんどんすすんでいます。

もう一つ特記すべきことは、サトウキビの搾りかすから作られる副産物、バイオマス燃料や、バイオプラスチックが経済的に年々成長し、大きな利益を生み出していることです。

エタノール入りのガソリンなど、地球温暖化に歯止めをかける環境によい燃料として注目されているバイオマスですが、環境保全団体であるWWF(世界自然保護基金)では、サトウキビの作付け拡大が、森林や生態系に与える大きな打撃を鑑みて、生産者、加工業者、食品会社がその環境的リスクをきちんと管理してサステナブルな方法を探して行くことが重要だと警告しています(「サトウキビ農業の環境への犠牲」WWF)。

社会に関する問題点

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最後に、社会面からの砂糖を見ていきましょう。

2018年にアメリカの労働省が出した「児童労働、強制労働により生産された商品リスト」によると、2016年には世界中で1億5200万人の子どもが学校で教育を受けることなく働かされ、その内74%が農業の仕事をしています。そして児童労働、強制労働が一番多い作付け品目はサトウキビです(U.S. DEPARTMENT OF LABOR’S 2018 LIST OF GOODS PRODUCED BY CHILD LABOR OR FORCED LABOR, USDOL)。

砂糖の社会課題について

 

日本の総人口を超える数の人たちが、人身売買されて危険な労働条件に耐え、食料や水も十分与えられずに長時間労働を強いられています。

砂糖の抱える課題

 

このような奴隷制度と変わらない状況が現在も当たりまえに行われ、その砂糖が私たちの口に入っていることを、消費者は知っておく必要があると思いました。

砂糖をきっかけに考える「今、私たちにできること」

サトウキビの写真pixabay

 

さて、この記事では砂糖にまつわる健康への影響から、環境、社会問題まで広い範囲の情報を取り上げました。本当なら知らないほうがよかったと思う方も多いでしょう。この事実を知った今、私たちにできることはどんなことでしょうか。

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この記事を読んで思ったこと、あなたの気持ちをご家族や友人に話してみてください。建設的なディスカッションの時間をつくるというのもよいでしょうし、SNSであなたの考えを呟くことであなたの読者に気づきを与えることにになるかも知れません。

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今日から買い物をするときは商品裏の原材料表示をよく見てください。砂糖の表示は「砂糖」だけでなく「ブドウ糖」「異性化液糖」など、姿形を変えて表示されています。加工食品を購入するときはアレルゲンの有無のみならず、このようなポイントも抑えて賢い選択ができるようになるといいですね。
今回体質改善にも役立つおすすめの砂糖をご紹介します。

おすすめの砂糖

体にいい砂糖3種著者撮影

 

アトピーの改善にも役立つ、砂糖に代わる甘味料をいくつかご紹介しましょう。

黒砂糖:
サトウキビの絞り汁を煮詰めた甘味料です。ほとんど精製されていないため、タンパク質やビタミンB群、多種にわたるミネラルの摂取もできます。このビタミンB群とミネラルがアトピーを癒すためにとても重要です。

生ハチミツ:
ミツバチの巣から採取する蜜です。ハチミツは砂糖と比べて血糖値をあげるスピードがゆっくりです。そして摂取して20分ほどでエネルギーに変わります。これがアトピー肌を癒すためのエネルギーに使うことができます。
*1歳以上のお子さんから摂取していただけます。

ココナッツシュガー:
ココナッツの花の蜜を煮詰めたものです。ココナッツシュガーも血糖値をあげるスピードがとても緩やかです。そのうえ、ミネラル、ビタミンB群、アミノ酸、食物繊維もとれるため、アトピー体質のナチュラルケアにぴったりです。

オーガニックを買う

オーガニックの認証は「有機栽培」という意味だけではありません。土・植物・動物・人、すべての命が健康であること、生態系の循環が作り出されること、そしてすべての命がお互いに尊重しあえる世界を表しています。

 

上記おすすめの砂糖もオーガニックのものを選んでみてくださいね。

今回は砂糖の話でしたが、「健康になりたい!」とオーガニックを食するあなたのその選択の結果が、実は会ったことのない地球の反対側に住む人たちの笑顔を作ったり、海や空気を浄化させたり、社会のトレンドを変えたりする力があるのです。
普段何気なく食べている砂糖1つとるだけで、こんなにも世界へ、地球へ影響力があることをぜひ知っておいていただきたいです。

この記事があなたと、あなたのご家族、そして地球に住むすべての命の笑顔につながれば幸いです。

 

参考資料:
「THE MAKING(187)砂糖ができるまで」
https://www.youtube.com/watch?v=i9aPY7yWmTg

「砂糖の生産トップ10と日本の輸入先」帝国書院,
https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/map/index10.html

U.S. DEPARTMENT OF LABOR’S 2018 LIST OF GOODS PRODUCED BY CHILD LABOR OR FORCED LABOR, USDOL, https://www.dol.gov/sites/dolgov/files/ILAB/ListofGoods.pdf

日本では手に入らないオーガニック情報

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