「教えて!オーガニックQ&A」では、IOB代表・オーガニック専門家レムケなつこが、オーガニックに関する様々な質問にお答えしています。
今回のテーマは、有機卵と平飼い卵の違いについて。
オーガニックQ&A: 平飼い卵は有機卵ではないという理解で間違いないでしょうか?
ドイツIOBオンラインコースの講義より、有機農業と慣行農業では餌や品種、肥料などによって、その栄養素が異なる旨、理解できました。
今回は畜産物に関して質問があります。
「平飼い卵」という卵があり、わが家は購入し食しています。
講座の説明内容によりますと、平飼い卵は有機農業により作られた卵ということではない、という理解で間違いありませんでしょうか?
ただ単に、だだっ広い場所で放し飼いにされている鶏から採れた卵ということでしょうか?
素晴らしいご質問ありがとうございます!
似たものと認識されているけれども、実際はどのようなプロセスを辿り、食卓に並んでいるのか、よく考えてみると知らないということも少なくないと思います。
ご質問いただいた「有機卵」と「平飼い卵」もその差を知らない方は多いかも知れません。
今回は、簡単かつ明確に回答していきますので、しっかりと学んでくださいね。
では、回答していきますね。
まず結論から言いますと、平飼い=オーガニックではありません。
これは、無農薬=オーガニックではないのと同じです。
まずこの質問に関しては、有機畜産というのは、どういうもので、どんなプロセスやルールがあるのかをもう一度確認していく必要があります。今回は、当校の講座の一部からお話しいたしします。
有機畜産には、
- クチバシを切ったりするのはダメ
- 畜舎には、採光や通風、外に自由に移動できるといった構造が必要
- 予防的に抗生物質の使用は禁じられている
- 餌の比率
など、様々なルールがあります。
これがすべてできて初めて、いわゆる「有機食品」になるわけです。
平飼いというのは、鳥かご(ケージ)飼いと区別するためにできた言葉です。
なので、おっしゃる通り、地面で放し飼いしている状態のことのみを指しています。
では、今回はもう少し詳しく有機卵の栄養素についても触れておきます。
有機卵はオーガニックではない卵よりもある栄養素量が高く確認されており、世界の研究者の注目を集めています。
その栄養素とは「オメガ3脂肪酸」。
オメガ3脂肪酸といえば、アレルギー症状への予防、心血管疾患の予防、脳障害や眼の障害への予防に貢献し、また、胎児や乳児の発育を促すものとして世界中で研究の対象とされ、エビデンスが得られている優れた栄養素です。
「オーガニックの食品は高い!」と敬遠する人が多くいます。ですが、本当にそうでしょうか?
今は大丈夫でも、数十年後に病気になって多額の医療費を将来支払うことになるかもしれない。あなたが大丈夫でも、あなたのお子さんやまたその子どもたちがアレルギーや病気や発達障害などで苦しむ可能性もあります。
それでも、まだオーガニック食品は高いと言えるのでしょうか?
今回は「卵」に焦点を当てましたが、様々な有機食品が持つその可能性についてエビデンスを持って きちんと理解し、あなた自身やあなたの家族、そしてお客様にきちんと納得のいく説明ができるようになること。これが、人々の健康や食に対する意識を変えていく大きな原動力になっていくはずです。
ぜひ、オーガニックの価値を科学的に学び、自信をもってオーガニック製品を選べるようになってくださいね。
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