あなたはステロイドに対してどんなイメージを持っていますか?
塗るとすぐに肌がキレイになる、魔法の薬でしょうか。
それとも副作用の話もよく聞くし、「なんとなく怖い」と思っているでしょうか?

アトピー性皮膚炎の症状によく処方されるステロイドですが、今日は「なんとなく怖い」と思っているあなたへ、ステロイドについて徹底解説致します。

Contents

ステロイドって何?

shutterstock

 

ステロイドとは、腎臓のうえにある副腎から分泌されるホルモンで「副腎皮質ホルモン」と呼ばれます。
このホルモンは身体の中に炎症が起きたときに分泌されて、活発に活躍している免疫細胞(炎症の原因)の動きを抑え炎症を沈めてくれます。

このホルモンを、石油を原料として人工的に作り出したものがステロイド薬ですが、ステロイドは身体の中で自分で作れるホルモンなのです。知っていましたか?

どんなときに使われるの?

shutterstock

 

このステロイド薬はどんな病気に処方されているのでしょうか。

よく知られているのはアトピーや喘息、鼻炎などのアレルギー症状の緩和。それからリウマチや感染症、悪性腫瘍などにも処方されます。塗り薬であったり、注射や点滴、飲み薬、点眼、点鼻薬など、いろいろな姿形に変わって医師から処方されます。

ですが、実はステロイドは病院に行かなくても、もっと手軽に手に入るのです。
たとえば、薬局で売っている市販品の口内炎の薬や痔の薬。手荒れや主婦湿疹のクリーム、ヘルペスの薬。このような処方箋の必要のない薬の中にもステロイドが入っているのです。

ステロイドは魔法の薬なの?

photo AC

 

ひどい痒みのある箇所にステロイドを塗ると翌日にはキレイに治っています。あんなに痒くて浸出液がでていたのに、肌もすべすべになってきました。

ひどい症状が出るときはステロイドがあると助かりますよね。やっぱり魔法の薬なのでしょうか。

実は、アトピー性皮膚炎になるかどうかは、一度でもその肌にステロイドを使ったことがあるかどうかで決まると言われています。このことについて詳しくは下記(ステロイドの働き)にて説明していますが、身体はとっても優秀で、ステロイドを塗ったその場所を覚えていて、繰り返し同じところに症状が出る傾向にあるのです。

あなたにも覚えがないですか?

  • 毎年夏になると同じところに湿疹やあせもができる。
  • 指輪のつけている箇所がかゆくなる。
  • 頭皮の1カ所だけがいつもかゆくなり、そこからフケのようなものが出てくる。

ステロイドを塗るときれいになるけれども、また同じ場所に同じ症状が出てくる。

それが1週間後かもしれないし、半年後かもしれないし、数年後かもしれません。身体は覚えていて同じところに症状が繰り返し出てきます。

ステロイドを塗って一時的に痒みがなくなったとしても、アトピーが治ったわけではないということがここからわかりますよね。

ステロイドの働き

shutterstock

 

小さいお子さんのママであるあなたなら、子どもが身体中を掻きむしって泣く様子を見るのは胸が張り裂けそうなくらい悲しくなりますね。
一時的だと分かっていても、ひどい痒みの症状を治めてくれるなら、そして子どもの笑顔が見れるなら、ステロイドを使いたい、という風に思っていませんか?

また、「弱いステロイドを短期間に少しつけるだけなら問題ない。」と、かかりつけの医師に言われて、症状が出るたびに繰り返しステロイドを使っていませんか?

長期間使用し続けていると副作用がひどくなり、よくないと聞きますよね。
では短期間なら、少量ならよいのでしょうか?
本来のステロイドホルモンの働きは最初に述べたように、身体の中の炎症が起きた部分に分泌されて、活発に活躍している免疫細胞の動きを抑えることで炎症を鎮めてくれます。

あなたもジムに行ったり、テニスなど運動すると身体が熱くなりエネルギーがたくさん使われていることを感じますよね?それと同じで、免疫細胞が活発に活躍すると、エネルギーをたくさん使い熱くなって炎症が起きます。

ジムで汗をかいたあと、あなたはぬるめのシャワーを浴びて汗を流します。ステロイドホルモンはそれと同じように、免疫細胞に降りかかるシャワーとなって熱を鎮めます。そこで、免疫細胞の働きは弱くなり炎症が治まるという仕組みです。

ここで、一度考えてみてください。
免疫細胞は誰と戦っていたのでしょう?
どうして戦う必要があったのでしょう?

もともと免疫細胞が戦う必要がなければ炎症も起こらないと思いませんか?

そこをケアせずに免疫細胞の働きだけを抑制しても原因は残っていますから、しばらくするとまた免疫細胞は活動を始めます。

こんな風に置き換えて考えてみましょう。
あなたは正義感の強い免疫細胞です。

 

shutterstock

 

あなたは大親友(自分の身体)が新しく入ってきた転校生(毒素など)から陰湿にいじめられているのを見かけました。
親友を助けようとあなたは果敢にも転校生と喧嘩をしてやっつけようとしました。教室の椅子や机が倒れ、窓ガラスも割れてしまいました(炎症)。すると、それを聞きつけた担任の先生(ステロイドホルモン)が走ってきて、仲裁に入り、喧嘩が収まりました。

つぎの日また大親友が転校生にこっそりといじめられています。あなたまた彼女を助けるために喧嘩をします。そしてまた先生が仲裁にはいり、喧嘩したことをひどく怒られます。

これが毎日、毎日続きます。

いじめっ子はますますエスカレートして、先生にわからないように陰湿に親友をいじめます。あなたはもう戦う力も弱くなってきましたが、それでも親友を助けるために戦います。そこに、今度は校長先生(ステロイド薬)がやってきて、あなたはもっとひどく叱られました。

この繰り返しであなた(免疫細胞)はどんどん弱くなってきます。
これがステロイドをいくら塗っても根本的に改善しないからくりです。

あなたはもう戦う気力がなく、いじめっ子は幅を利かせるばかり。
校長先生がいても、陰湿ないじめっ子には痛くも痒くもありません。

あなた(免疫細胞)は本来正義感の強い細胞です。
あなたがクラスにいることで、助け合うチーム力の高い元気なクラスなのですが、このいじめっ子騒動の結果、クラスの和が乱れてしまいます。

本来免疫細胞が活躍して維持できるはずの健康状態が保てなくなってしまうのです。

ステロイドの副作用

shutterstock

 

例え話から分かるように、いじめっ子を正さない限り、問題解決にはなりません。それをせずにステロイドを使い続けるのは、正義感の強い免疫細胞を弱らせることに繋がります。

これがステロイドの副作用です。

ステロイドでよく知られる副作用には、

  • 感染症にかかりやすくなる
  • 増毛
  • ざそう(にきびができやすい)
  • 生理不順、むくみ
  • 不眠症、鬱(うつ)
  • 骨がもろくなる、骨粗鬆症

などがありますが、実は私はこれらの副作用をすべて経験しています。

私の経験と副作用

私は中学生の頃からアトピーを患い、アレルギーの専門医だった父の処方でステロイドの塗り薬や点眼、点鼻薬などを三十年近く使用していました。

薬を塗った箇所はムダ毛が増毛するので、女子としてとても気分が落ち込みました。ムダ毛処理に薬剤を使うとヒリヒリするし、カミソリや粘着力の強いシートで一気に抜く方法はアトピー肌を思うと決して使いたくありませんでした。

20代の前半から生理痛がとてもひどく、毎月痛み止めの点滴を打たないと日常生活が送れないほどでした。また、長い間不眠症にも悩まされ、足がむくんで布団に入っても2時間、3時間眠ることができないのは当たり前で、それらは持って生まれた体質なのだと思っていました。

著者のアトピー時とその後の写真著者撮影

 

職場の健康診断では骨粗鬆症のリスクが高いと言われ、骨のもろさから第一子の妊娠9ヶ月で大腿骨を骨折し、ピンを入れる手術と帝王切開を同時に行うという大手術も経験しています。医師からは「大腿骨は通常お年寄りしか骨折しないものだ」と言われました。

でもこれらの症状は、薬に頼らず、ナチュラルにケアしていく過程でアトピー症状とともに自然に改善したのです。あとになって初めて「あのつらい症状たちは持って生まれた体質ではなかった」と気づきました。

また、私の父は晩年、難病指定されている病気を患い大量のステロイドを投与されていました。その副作用でムーンフェイスと呼ばれる顔にむくみが出たり、糖尿病、緑内障なども併発しました。

しかしながら何よりも大変なのは、免疫細胞が弱くなることにより「我慢」をする力が弱くなることです。

これにより少しのストレスでも耐えられず、鬱(うつ)症状を起こしやすくなったり、精神的に弱い身体になってしまうのです。

 

pixabay

 

私の父の晩年は「怒りの感情」だけが残ってしまう悲しいものでした。担当医からは「薬の副作用」と言われていましたが、当時は頭でわかっていても受け入れられず、それがステロイド薬の副作用だったことを心から認識できたのは、父の死後、自分自身が薬に頼らずにアトピーを改善させてからです。

まだ身体が発達途上である小さなお子さんがステロイドを使うことで、本来はこれから強く元気に増えるはずの免疫細胞の数が少なく、体力的にも精神的にも弱い身体になるリスクが高まります。このため、小さいお子さんには生死に関わるような状態でない限りは、できるだけステロイドを使わずに症状に対応する心がけが大切です。

あなたとご家族の考えに寄り添ってくれるような医師を探して相談してみてくださいね。

さて、ステロイドについてのあなたの理解は深まりましたでしょうか。
実際にひどい症状のときに「使わない」選択をすることはとっても勇気のいることです。

日頃から加工食品の摂取を控えて腸をケアし、積極的にオーガニック食材を取り入れたり、合成化学薬品を含んだ洗浄剤やボディケア用品をさけて、ナチュラルな商品に変えていくなど心がけることで少しづつ症状は改善してゆきます。

 

pixabay

 

一時的な改善だけでなく、10年、20年、30年先の身体を考えて、今の症状と向き合えるよう、この記事があなたの助けになると幸いです。

日本では手に入らないオーガニック情報

この記事が気に入ったら
IOBをフォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事