「教えて!オーガニックQ&A」では、IOB代表・オーガニック専門家レムケなつこが、オーガニックに関する様々な質問にお答えしています。
今回のテーマは、はちみつの残留農薬について。
オーガニックQ&A: はちみつ中の残留農薬について教えてください。
子どもがかかっている小児科の先生が、「オーガニックと謳っているはちみつでも蜂だからいろんなもの (オーガニック・非オーガニック) を運んでくる。 全世界で見ても7~8割のはちみつが 農薬に汚染されているという研究結果も出てきている。 私(小児科医)もマヌカハニーを常食していたが今はやめた」とおっしゃっていました。
はちみつのよさを知っているので、食べたい&食べさせたい気持ちはあるのですが、どう思いますか?
はちみつは栄養価が髙く、さまざまな健康効果があることで知られますが、同時に摂取には注意すべき点もあります。乳児ボツリヌス症感染などが有名なところですが、今回お話する「残留農薬」も近年非常に注目されるポイントです。今日は今後のはちみつ選びへのヒントもお伝えするのでぜひ押さえておいてください。
お子様のかかりつけ医が言及していた研究論文についてですが、おそらく2017年スイスの大学の研究者らがまとめたもので、海外大手のメディアでも広く取り上げられた論文のことだと思います。
198個の異なるはちみつを世界中から集めて検査したところ、75%ものはちみつからネオニコチノイド系農薬成分が検出されたというもの。検出されたサンプル数は、北米、アジア、欧州、南米の順で多く、1サンプル中に見つかった農薬成分の種類の数もこの順で多く見つかっています。
なお、オーガニックと非オーガニックのはちみつではその差が見られなかった。つまり、オーガニックのはちみつからも同じようにネオニコチノイド系農薬成分が検出されたということです。
しかし、濃度自体は、欧州や米国の最大残留基準に照らし合わせると、どのサンプルから得られた値も人の健康には害がないと言われている程度と結論づけられています。
しかし、これは、当校(ドイツIOBオーガニックスクール)無料メール講座内の動画講座「有害化学物質」でも話してますが、残留農薬は体内に溜まっていくものなので、用心したいところです。
本研究で検査されたサンプル母数は小さいので、これだけで「すべてのはちみつは危険である、食べるに値しない」と、結論づけることはできないと思います。ただ、そうはいっても不安だと思いますので、今後はちみつを選ぶ際に知っておくと役に立つヒントをここではいくつかご紹介しますね。
- ネオニコチノイド系農薬は日本では規制がゆるい
- ネオニコチノイド系農薬の規制が厳しい地域は欧州と言われている。数種類のネオニコ系農薬の使用が既に禁止されていて、これから益々厳しくなると考えられている
- ミツバチの行動範囲は巣箱を中心に通常2〜3キロまでと言われる。ただし海外の調査で、花が少ない地域に住むミツバチは、花粉や蜜が多く入手できる12キロ先の地域まで移動したという研究結果が出ている
これをもとに考えると、巣箱から少なくとも12km以内が有機農園などの農薬が使用されていない地域の養蜂家からはちみつを買うというのがベストな選択肢かもしれません。
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