今年もやってきました!
ニュージーランドの湖畔で有機農法、自然農法を営みつつ、半自給自足のサステナブルライフを送る執筆家・四角大輔さんと株式会社エイチ・アイ・エスと開催するドイツオーガニックリトリートツアー「究極のオーガニックホテルで心身を浄化し自分の本来の姿を取り戻す6日間!」
今回は、ツアーレポを簡単に紹介したいと思います。
Contents
舞台は療養所からビオホテルに転身した老舗ホテル
タンナーホフにて
まずは、オーガニックリトリートツアーの開催地の説明から。
舞台は、南ドイツ・バイエルン州バイリッシュツェルにあるビオホテルTannerhof(タンナーホフ)。もともとは、100年前に療養所としてドクターが建てた宿泊施設。薬に頼らず自然と向き合い、バランスのとれた食事と運動をすることで病気は自ずと治る、そう信じたドクター一家が代々経営してきたサナトリウムです。
ドイツには、かつて、保養施設に滞在して自然療法と生活改善に専念する「クア」という医療制度がありました。「転地療養」とも言われる療養スタイルで、治療費の他に滞在費までもが健康保険の適応となり、そのおかげでこちらの宿泊所も繁盛していたそうです。ところが、この医療制度が廃止され、その頃にTannerhofもクア療養所からビオホテルに転換します。このような背景からここTannerhofは、いまだに療養所としての特質を保つ異彩を放ったビオホテルとして世界中のお客さんから支持を得ています。
通常の欧州のビオホテルと同じように、ここでは飲食、リネン類、コスメはすべてオーガニックと、言いたいところですが、実際にはこのホテルにはオーガニックではないものがふたつあります。それは、地元ビール2種。
オーガニックの欧州定義の中には、地産地消のコンセプトが内包されています。そのため、ビオホテル基準でもオーガニックなものが入手できない場合は、ローカルなものを使用するという決まりがあります。ゆえに、Tannerhofは、欧州の厳しいビオホテル基準をきちんとクリアしているということになります。
なお、余談ですが、日本のビオホテル認証は、欧州本場ビオホテル認証と比較すると基準が緩く設定されています。その理由は、日本で欧州基準を実現するにはまだあまりにハードルが高く、非現実的だからと言われています。
さて、私が今回宿泊したのは、本館からちょっと離れた「タワー」と呼ばれる棟。
タンナーホフ「タワー」
周りで放牧される牛たちがつけるカウベルの響きで毎朝目を覚まし、バルコニーから拝む壮大な自然の景色で心身を調整する。就寝前に満天の星に、その日味わえた喜びを感謝する。そんな贅沢な6日間を過ごしました。
では、ここからは今回のツアーハイライトをいくつか絞ってご紹介していきます!
ドイツ人自然療法士による野生ハーブウォーキングとナチュラルコスメ講座
ドイツでは国家資格である自然療法士。3年に及ぶ専門スクールを卒業しても、たった10%の人しか合格できないと言われています。ドイツ全国に医師が約38万人、自然療法士は約1万人足らずで、市民から大きな支持を得ているドイツでもまだまだ希少な専門家と考えられています。
自然療法士にはそれぞれ専門があるようなのですが、今回講座講師を担当したビルギットの専門は、メディカルハーブとドイツ発祥のホメオパシー。資格取得後10年かけてこの専門性を磨いてきた本物です。
ドイツ自然療法家ビルギット氏
野生ハーブウォーキングは、ハーブの世界ではおなじみのセントジョーンズワート、月見草、リンデン、下野草、オレガノ、タイムから、ドイツならではのネトルなど13種を山道を散策しながら見つけるというもの。日本ではなかなか出会うことがないハーブが道端に普通に生えているのに驚いている参加者もいました。
その翌日に行われたナチュラルコスメ講座は、朝から晩までのワンデイ講座。専門的な座学の後に、石鹸、ファンデーション、チークにもなる口紅、リップクリームを作成しました。
ナチュラルコスメ講座風景
ビルギット曰く、お肌に本当に大事なのは、肌のバリア機能を傷つけないコスメを使用することと、身体の内から潤いを保てるようなライフスタイルを送ること。
ツアーには、国産オーガニックコスメブランド「ネロリラ」ブランドディレクターの早坂香須子さんや植物療法士の風間ゆみえさんなど、美容・植物療法の専門家も参加されていました。講座では、彼女たちのプロフェッショナルな視点からの鋭い質問が飛び交い、さらに深い学びとなっていく、そんな貴重な時間でした。
リップチーク作成中の早坂香須子さん
作成したリップチークの色はトップメイクアーティストでもある早坂香須子さんが一人一人に作ってくれた世界でたったひとつのマイ・カラー。チークにもアイシャドウにもなる万能リップです。使い方まで伝授してもらい、日本出張時などメイクをしたくなったときは毎回使用しています。
完成したリップチークたち
雪解け水の湖でスウィム&リラックス
ツアーを開催した週は、欧州で今年一番の猛暑と言われた時期でした。あまりに暑いので、当初予定していたハイキングをキャンセルし、オーストリア国境を越えた先にあるティール湖にやってきました。湖の水は、周囲の山から流れてくる雪解け水。猛暑といえども水の中は身体がびっくりするくらい冷たいのですが、5分も泳げば心地よい温度に。
湖畔では、それぞれが好きなように泳いだり浮かんだり、木陰で会話を楽しんだり、芝生に寝転んで湖に吹くそよ風に身体を任せてみたり、ちょっと日焼けしてみたり。
ティール湖にて
自然に触れることで顔が自ずとほころんでいく参加者のみんな。まるで、昔から友達だったような錯覚を覚え、みんなとの距離がまた近くなる。「自然って、友情をも育んでくれるんだなぁ」とひとり感動してました。
「私にもできそう!」を与えてくれる四角大輔さんのワークショップ
四角大輔さんワークショップの様子
「大自然には一切の矛盾がなくすべての存在に役割がある」と言い切る、四角大輔さん。日本人でここまで自然をリスペクトし共生する人、日常の暮らしの中で地球上の尊い命を循環させている人を、私は彼以外に知りません。
大輔さんがニュージーランドの湖畔で送る半自給自足生活では、野菜やハーブは、有機栽培、自然栽培で彼自身が育てている畑からいただく。フルーツは、自宅の周囲に広がる森の中からいただく。魚介類や海藻類は、家の目の前にある湖畔や近隣の海からいただく、と言います。
お肉は原則食べない、発酵食品・飲料、保存食などを常備する、集落内で物々交換しあう。それでも足りないものは、ファーマーズマーケットで地元の農家さんから直接買う。そして、最後に出てくる有機物の廃棄物は土に還す。
そんな共生・循環生活を送る大輔さんは、パタゴニア、グリーンピース、環境省などのアンバサダーを務め、環境やオーガニック分野で活躍する多くの人や組織に影響力を持つ、私がもっとも尊敬する日本人のひとりです。
四角大輔さんとIOB代表レムケなつこ
今回、大輔さんがトークの冒頭で話されたことで印象的だったのが「僕と同じ暮らしをするべきだと言っているわけでは決してないんだ。僕の人生自体が実験で、その実証結果をみんなにシェアしたいだけなんだ」と、ちょっぴり控えめに放った言葉。
確かに、大輔さんのような真にサステナブルな暮らしをしたいと思っている人は世界中にごまんといると思います。けれども、ハードルが高くて自分ごとにならない、または諦めざるを得ない人もいるのではないでしょうか。
しかし、彼のトークに共感するのは、自身の暮らしや想いを語ってそれで終わせないこと。聞き手である「私」の場合は、どう考えたらいいのか、どうしたらいいのか、という疑問にきちんと納得できる回答がブレイクダウンされ提示されていて、今日からでも誰にでも始められる小さなゴールが散りばめられていること。「これなら私にもできそう」そんなインスピレーションや勇気を与えてくれる素晴らしい講演でした。
大輔さんは毎年日本に数ヶ月間戻り、全国で講演を行っています。都合が合う人は、ぜひ参加されるのをお勧めします。それも難しいという人は、彼の書物を読んでほしい。私が心底おすすめしたいのは、講談社『人生やらなくていいリスト』。Kindleでも入手できます。「共生が一番心地よくて効率的だ」という彼の魂の声がぎゅっとつまった名著です。
無料提供のフィットネスプランやサウナ、カルチャーイベントまで
ここTannerhofでは毎日、日替わりでヨガやウォーターアクティビティなど一日5つほどのフィットネスプランが無料で提供されます。参加者のみんなや私が今回参加したのは、太極拳、ストレッチ、筋トレ、ヨガ、アクアエクササイズなど。インナーマッスルに働きかけるタイプのじわじわくる運動が多いのが特徴です。また、ドイツ特有の自然療法に根ざしたエステまで完備されています。
室内プールで朝7時半から泳ぎ、スッキリした状態で一日を始め、夕食を終えてからゆっくりサウナに入ったり、満天の星の下で人生や将来について語り合ったりしていると、マインドまで清らかに軽くなっていくのを感じました。
ここはインターネット環境がごく限られた森の中にあります。望むと望まざるにかかわらず、結果デジタルデトックスが進んでいきます。面白いほどに、自然とスマホやPCから体も心も確実に遠ざかっていくんです。このような環境に身を置ける場所は、ここドイツでもなかなかありません。
さらに、このビオホテルが他とは大きく異なるのは、定期的にホテル内でカルチャーイベントを開催していることです。Tannerhofでは、心と身体は繋がっていて、健康になるには身体を休めたり、運動したり、有機食などの健康食を摂取したりするだけでなく、ウキウキするような体験も必要だと考えています。
今年もこのイベントを通じて奇跡的にお会いできたのが、ミュンヘン在住日本人ピアニストのオオタマサコさん。コンサートホールで響き渡る彼女のピアノの音色には、この世のものとは思えないほど格別で真夏なのにぞぞっと鳥肌が立ち、しまいには感動の涙も勝手に出てきてしまうような美しさがあります。
「これもデトックスの一環なのかもしれない」そう思い、流れに身を任せていました。すると、彼女のコンサートが終わる頃には全身が緩くなっている。美しい音楽のセラピー効果ってほんと絶大ですね。
参加者の声も熱かったレムケなつこ講座
今回のツアーでは、講座講師を2日間に渡って担当させていただきました。
初日は「オーガニックの定義」について、私が途上国支援をしていた際の経験談とドイツの大学院時代に学んだ欧州のオーガニック定義について共有しました。(参考記事:オーガニックって結局、何?「人にやさしい」「環境保護」だけじゃない!オーガニックの立体的な姿とは)
2日目は、このツアーのテーマのひとつでもあるデトックスの重要性を知るための「有害化学物質」について。たっぷり余談も挟みつつお話しさせていただきました。
レムケなつこ講座の様子
翌日、講座1日目の振り返りでみんなが考えるオーガニックについて聞いたところ、回答していただいたのがこちら。
参加者が考える「オーガニックとは」
【オーガニックとは】
- LOVE
- 共生
- 革命
- パーソナルからソーシャルへ
- 幸せ
- しくみ
- ホリスティックヘルス
- すべての人が幸せになる仕組み「システム」
- 小さな穴であり動的平衡なもの
参加者みんなのコメントがど真ん中をついていて、その意図を数分ずつ聴きながら「私、世界一の幸せもんだ」と至上の喜びに浸ってました。
途上国で生産者支援に関わり、現場で私たちの食事が誰かの苦しみのもとに作られていることを垣間見、どうしようもない憤りを覚えました。それから、オーガニックに人生を賭けてみたいと一念発起。本場ドイツの大学院で研究し始めたのが今から10年前です。
あれからずっと、本気で世の中の仕組みを変えたいと夢物語のようなことを願い続けてきましたが、今ではこうやって共感してくださる方々が世界にいるんだと周りから気づかせてもらえる、希望の光であるみんなの言葉に眼頭が熱くなる、そんな幸せな瞬間でした。
6日間、このツアーに参加してくれたみんなのことは、勝手に(笑)、この世界の不条理を一緒に変えていくオーガニック仲間だと思ってます!これからもどうぞよろしくお願いします。
※当記事画像はすべて筆者撮影のものです。
オーガニックを日本に広めたい! IOBができること
日本ではこれからが「本番」とも言えるオーガニック業界。まだまだ「本物のオーガニック」が浸透しきれていない中で、自分のオーガニック事業をどうやって広めていくか、悩んでいる方も多いと思います。私もそのうちのひとりでした。
ですが、今は仲間の存在があり、自分たちの想いを遠慮することなく熱く語り、お互いがそれぞれの事業を高め合える関係を築く、そんなプラットフォームを持てるようになれたことをとても心強く感じています。
そして、今回のツアーを通して私が新たにした想い、それは、当社IOBはこれからもオンラインサロン、オフラインでの勉強会・発表会・議論の場を設け、起業家たちが他では体験できない様々な企画を立ち上げていくと決意したこと。オーガニック起業家みんなが心地よいと思うコミュニティの中で、集い、繋がり、学び合い、協働し、団結し、他者や外部組織へも影響を及ぼす大きな力となれる、そんな集いの場を皆さまにご提供していきたいと思っております。
オーガニックを日本に広めたい!
でもひとりでは・・・そんな風に目の前に立ちはだかる大きな壁に無力感を感じているあなた。ぜひIOBを活用していただき、我々IOBメンバー、世界11カ国から集う180名(2019年8月現在)を超えるスクール生さんと繋がり、ともにオーガニック事業を発展させていければ、これほど嬉しいことはありません。
IOBスクール卒業生や現役生がどのようなオーガニック事業をされているのか、興味のある方は、ぜひ無料メール講座へご登録し、無料動画講座をご覧ください。