「教えて!オーガニックQ&A」では、IOB代表・オーガニック専門家レムケなつこが、オーガニックに関する様々な質問にお答えしています。

今回のテーマは、自給自足について。

オーガニックQ&A:オーガニックはすべての生き物を脅かさないという理念に基づいていますが、究極的には自給自足に行き着くと思いますが、どのようにお考えですか?

 

質問者:30代女性、Y.Y.さん

オーガニックはすべての生き物を脅かさないという理念に基づいていますが、自動車は現時点では環境に悪く生き物を脅かすものだと考えられます。

それを使用しないとなると生産物の運搬ができず、オーガニックを突き詰めると大量生産して運搬するというシステムは成り立たなくなる。すなわち、究極的には自給自足に行き着くかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 

回答者:レムケなつこ
オーガニックを多角的に捉えたとても鋭いご質問をありがとうございます。
おっしゃる通り、オーガニック製品を選んでも環境や他の生き物への負担をゼロにすることが難しい現代社会。それでもなぜオーガニックを選ぶことに意味があるのか、今日はオーガニックのコンセプトの一つを取り上げて回答させていただきますね。

 

オーガニックのコンセプトの中には「地産地消」が含まれております。
ご質問者のご指摘通り、自給自足できるのが一番いいのかもしれませんが、今の世の中では現実的ではありませんよね。

ですが、近隣の農家が作ったものをいただくことができれば、運搬に必要となるCO2排出量を抑えることができます。

 

地産地消イメージpixabay

 

しかし、日本の場合は、需要に供給が追いついていかないため多くは海外産であったり、東京在住の人が地方の農作物や商品を買う状態になっています。

このような長いサプライチェーンがさらなる運搬を必要とし、環境への負担を大きくしています。

さらに、長いサプライチェーンが持つ問題点をお話しすると、そもそも有機認証が生まれたのはこういう長いサプライチェーンができてしまったため、誰がどう作っているのか消費者がわからなくなってしまったということがあります。それを担保するために認証ができた。

では逆にもし、オーガニックのコンセプトである「地産地消」のようにサプライチェーンが短かかったらどうでしょうか?

たとえば、隣の農家から購入できるのであれば、運搬が最小限に抑えられるばかりではなく、どんな人がどう作っているかが消費者にもわかりますよね?

であれば有機認証も必要なくなる。消費者は農家から直接買うので卸売業者や小売業がとる流通費用や認証代がない分だけ安く買える。そして、農家は認証代が浮き、さらに直売できるのでとれる利益が大きくなる。

サプライチェーンは短ければ短いほど、環境への負担も少なくなり、さらには消費者と生産者がWin-Winであることが可能になるというわけです。

既存のサプライチェーンがいかに短く、ローカルであるか。流通改革も行なっていかなければ、オーガニックの真価は発揮できないと私も考えています。

今回いただいた素晴らしいご質問は、オーガニックを「健康によい」といった一面的にしか捉えられていない場合には、疑問に感じることがないかもしれませんね。

しかし、今後日本でも本格的なオーガニックブームが到来すれば、様々な角度からオーガニックについて考え、また疑問を持つ人が増えるでしょう。

 

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