近年日本でも人気を集めているオーガニックコスメ。しかし、「オーガニックコスメとは何か?」という質問に対しては、美容専門家の中でも様々な考えがあり、消費者として明確に分からないという人も多いのではないでしょうか?
今回はオーガニックコスメの定義、その機能や石油系コスメとの違いなど、オーガニックコスメに興味のある方は必ず押さえておくべきポイントを分かりやすく説明します。
Contents
まだまだ多いオーガニックコスメへの誤解
インターネットなどでオーガニックコスメについて調べると、まだまだ曖昧な情報が溢れている日本。そのため、オーガニックコスメは「植物成分を使用しているから安全」、「植物成分は肌に優しいだけで肌には効かない」、「オーガニック成分で作られた化粧品」など誤ったイメージで捉えられていることがよくあります。
ここではこれらの誤解を解くべく、一つずつ簡単に説明していきます。
(1)植物成分は肌に優しく、安心、安全?
植物は自然のものですが、「自然=肌に優しい」という方程式は、残念ながら大きな誤解です。
食物からアレルギーが発症するように、個人の肌によっては、オーガニックコスメに使用される自然由来成分でもアレルギーが起こることがあります。
さらに、植物の中には古くから「毒草」と呼ばれるものがあり、たとえば日本三大有毒植物とされる「クセリ」「トリカブト」「ドクウツギ」は食べたり触れたりすることで、炎症や痙攣を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。
もちろん、コスメ商品にこのような有毒植物は使われませんが、「自然だから肌に優しい」と安易に考えるのは間違いであり、逆に言えば、「肌に優しいオーガニックコスメ」と謳っている化粧品は何をもってそう言っているのかを確認する必要があります。
(2)植物成分は肌に効かない?
植物成分にはその作用が科学的に証明されているものがいくつもあります。たとえば、オーガニックコスメにとてもよく使用される成分「精油」。エッセンシャルオイルとも呼ばれ、植物の芳香成分が50~100倍の濃度で凝縮されたものです。芳香成分ですから、香料として使用されていると思われるかもしれませんが、その効能は、殺菌・収れん・鎮静・抗炎症・細胞成長促進など、コスメ製品へ配合することでスキンケア効果も期待できるのです。
精油は肌へ作用することが証明されているからこそ使用にも注意が必要で、使用方法を誤れば「光毒性」(精油成分が皮膚についた状態で紫外線に当たると、炎症やかゆみ、シミなどの肌トラブルが起こること)など、肌に刺激を与えることがあります。
(3)オーガニックコスメの配合成分
「オーガニックコスメ認証」を取得しているコスメを例に挙げると、認証の種類によっても異なりますが、「植物原料はオーガニック成分が70~95%」と規定されているものが多いです。つまりその場合、その他の5~30%は有機(=オーガニック)栽培で作られた植物成分「以外」(ただし認証の規定に沿った成分のみ)も配合が許可されているということになります。
さらに、世に出回るすべてのオーガニックコスメが認証を取得しているわけではないので、認証を取得していないコスメにおいてはその配合率すら分からないことが多いのです。
つまり、オーガニックコスメの中にもオーガニック成分が1%~95%という大きな差があり得る、と言うことになります。
世界で”統一定義”がないオーガニックコスメ
では、オーガニックコスメとはズバリ、どのようなコスメを指すのでしょうか。もしもあなたが、オーガニックコスメを商品として扱っている専門家であるなら、どのような基準をもってお客様にオーガニックコスメとして紹介しているでしょうか。
冒頭でもお話したとおり、この問いに答えられない方は意外と多いのです。なぜなら、世界ではまだオーガニックコスメに対する統一定義も規制もないからです。たとえば、オーガニックコスメとは「有機栽培の植物成分を〇%配合するコスメのこと」などといった明確な定義があれば分かりやすいのですが、販売される多くのオーガニックコスメのその配合量に統一性はありません。
そんな中、オーガニックの本場ドイツでは、規制ではないものの一般的に「オーガニックコスメ認証」を取得したコスメが「BIO(ビオ=オーガニック)コスメ」と呼ばれています。それぞれの「オーガニックコスメ認証」では、全成分中のオーガニック原材料の使用率が規定されている他、特定成分の使用限度があったり、環境・社会に配慮した製造方法が推奨されているのもその特徴です。
一方、現在の日本では、たとえば1%といったほんの少しのオーガニック成分を使用するだけでもオーガニックコスメと名乗れてしまうのが現状。それを知らずに商品を購入している消費者も少なくなく、その結果、オーガニックコスメとして期待した効果が出ないということも起こり得ます。
オーガニックコスメの”基準”
統一定義がない中、ますます発展を遂げているオーガニックコスメ市場。その中で「本物」のオーガニックコスメを選び、そのスキンケア効果をきちんと得るためにも、「自らが何をもって本物のオーガニックコスメとするのか」という基準を持っておくことが非常に重要です。
ここではその基準となる大切なポイントを、ドイツ発である当校「オーガニックコスメ専門家資格オンラインコース」内の講義に合わせて一つご紹介します。
当校では、『オーガニックコスメとは「認証取得したコスメ」または「認証コスメと同等」』と定義し、それ以外は石油系コスメとみなしています。
石油系コスメには「一般化粧品」「無添加化粧品」「薬用化粧品」「自然派化粧品」、さらに「なんちゃってオーガニックコスメ」が分類されます。
石油系コスメについてそれぞれ簡単に説明していきます。
- 一般化粧品:石油系成分が主成分の一般的なコスメ。
- 無添加化粧品:旧厚生省が指定したアレルギーの危険性がある「102種類」の成分を除いた化粧品。「添加物が使用されていない化粧品」ということではない。
- 薬用化粧品:厚生労働省が効能・効果を認めた有効成分を配合した化粧品。化粧品と医薬品の中間に分類され、「医薬部外品」とも呼ばれる。化粧品とは異なり「成分全表示」の義務がない。
- 自然派化粧品:自然由来の成分を配合している化粧品。ただし、「自然派」や「ナチュラル」には明確な定義がないため、自然由来成分の配合率にも規定はなく、わずかに天然成分を配合したものも「自然派化粧品」と謳える。
- なんちゃってオーガニックコスメ:1%しかオーガニック原材料を使用していないにも関わらずオーガニックコスメと謳っている化粧品や、オーガニック認証の基準に沿って作られていない化粧品。
オーガニックコスメと石油系コスメの違い
ここでは上記で分類した「オーガニックコスメ」と「石油系コスメ」の違いについて話していきたいと思います。
定義の違い
- オーガニックコスメ:植物の力により肌が本来持つ、バリア機能・免疫力・自己回復能力を助長し、中長期で肌を健やかに育てていく
- 石油系コスメ:短期的に見た目をよくする
つまり、肌をケアする「目的」と「手段」が異なるのです。
オーガニックコスメの効果効能
まずは、肌の機能について説明します。
肌には本来、「自己防衛機能」「自己再生機能」が備わっています。それにより肌は紫外線や寒気といった外部刺激から自らを守ったり、ケガをしたときにも自ら傷を修復したりすることができるのです。
そんな「自己防衛機能」「自己再生機能」をになっているのが、下記の細胞や器官。
- ランゲルハンス細胞・・・外部からの侵入物を排除
- メラノサイト・・・紫外線からの保護
- 角質層・・・体内の水分を保護
- 基底細胞・・・新しい皮膚細胞を生成
- 皮脂腺・・・天然保湿剤とされる「皮脂膜」の生成に欠かせない皮脂を分泌
- 皮下脂肪・・・損傷から保護
そしてオーガニックコスメは、こららの細胞や器官がきちんと機能し、肌を健やかに保ってくれるという作用があります。
一方、石油を主成分とする石油系コスメの場合、多くの製品に含まれる「合成界面活性剤」や「合成ポリマー」などといった石油系成分が、様々な細胞を溶かしたり、壊したり、働きを阻害していくことで、中長期的に肌自身が本来持っているはずの能力や機能を低下させていきます。
つまり、オーガニックコスメは肌が本来持つ機能を回復させ中長期的に維持させるので、結局は一時的な美を叶える石油系コスメより肌に健康的と言えるのです。
オーガニックコスメを使用するうえでの注意点
上述の通り、オーガニックコスメは「効果が出ない」「効果が薄い」と感じられる人もいます。しかし実は、そんな方の中に多いのは「石油系成分へ依存した肌」。
長年に渡る石油系成分の使用で肌本来の機能が低下した肌に、オーガニックコスメで肌機能を活性化させる栄養や環境を与えても、細胞や器官自体の働きが衰えているので効果が出にくいのです。石油系成分へ依存した肌へは、まず「移行期間」を設け、正しいオーガニックスキンケアで肌本来の機能が徐々に回復していくように導きましょう。
ただし、スキンケアコスメというのはあくまで肌の健康をサポートするもの。それだけを使えば肌トラブルがなくなったり、治療できたりするものではありません。「移行期間」を過ぎてもオーガニックコスメで効果が現れない、という人はライフスタイルからの見直しも必要です。
なぜ、オーガニックコスメは愛されるのか?
オーガニックコスメの使用を勧める理由は、その「肌本来の機能を高める」という効果だけではありません。ここでは、当校オンラインコースで講義している「オーガニックコスメを勧める理由」のうち2点のみをご紹介したいと思います。
1.オーガニックコスメは、「環境や社会」にとってよい商品であることが多い
オーガニック認証では「環境・社会に配慮した製造方法が推奨されている」とお話した通り、認証を取得した本物のオーガニックコスメは下記のような点に配慮し、生産されていることが多いです。そのため、結果的に環境問題や社会問題に貢献できる可能性が髙くなるのです。
例)
- パッケージが持続可能な原料から作られているものを使用している
- 動物実験が禁止されている
- 生物多様性を推進
- 労働条件や賃金がフェア
など。
これは、環境意識の髙いドイツでオーガニックコスが愛される理由の一つでもあります。
2.オーガニックコスメは、有害物質への暴露の確率が下がる
オーガニックコスメ認証を取得したオーガニック原料は、そうでない原料に比べ、残留農薬の割合がかなり低いと言われています。またオーガニックコスメ認証の中でも、化粧品の防腐などの観点から一部の石油系合成成分の使用を認めていますが、それも限定的で肌への負担が比較的低いものが使用されます。
また近年、天然素材を使用するコスメが増えていますが、オーガニックではないコスメ原料は化学物質に汚染されている可能性があることが研究により分かっています。
例)
スイートアーモンドオイル:脳障害を起こしやすい殺虫剤残留
レモン精油:ネオニコチノイド系農薬の残留
など。
安全性を重視する消費者へは、これも本物のオーガニックコスメを勧める強い理由となります。
最後にお話しました「オーガニックコスメを勧める理由」の2点他、無料メール講座内で【動画】を公開しています。最先端ドイツより日本では学べないオーガニックコスメ情報を配信していますので、本格的にオーガニックコスメの知識を身につけたいという方は、ぜひご覧ください。