プラスチックフリーとは、プラスチックを使用しないことを意味します。
2014年現在、プラスチックの年間総生産量は約3億1000万トン。2050年には、このほぼ4倍まで増加すると見込まれています。そして、2500万トンという途方もない量のプラスチックが毎年自然界に流れ込んでいます。このプラスチックは、そのままでは使えないため、大量の添加物が加えられることで加工しやすさ、やわらかさ、丈夫さ、色、紫外線カットなどの特性がプラスされます。添加剤には、安定剤、発泡剤、防かび剤、抗菌剤などがあります。まるで遺伝子組み換えのトウモロコシのように、プラスチックに害虫や細菌を寄せ付けないような仕組みがされているのですから驚きです。
例えば、プラスチック製品を食品保存用として使用している場合は、人体にとって害のあるこれらの添加剤が食品の中に漏れ出して、食品と一緒に私たちの身体に蓄積されていくのですから恐ろしいことです。
また、ゴミとして海や川に流れたプラスチック製品は、水中(海中)に入ると日光にさらされるなどして、ものすごいスピードで細分化されます。それを大きな魚や鳥がエサと間違えて捕食し、その破片をさらに小さな魚に捕食されます。魚や鳥が捕食する前に、海中ではそのプラスチックに殺虫剤、ダイオキシン、放射性廃棄物などが吸着されます。海中の生物がプラスチックを摂取すると、食物連鎖を経て毒素が濃縮されます。プラスチックそのものが有害なのに、海に浮かんだあらゆる化学物質が加えられた毒素の塊を、魚介類を食べることにより私たちは知らず知らずのうちに口にしています。
このように使うのも、処分するのにも環境に悪影響を与えるプラスチック製品を使わない、新しく買わないという暮らし方をプラスチックフリー生活といい、世界中で取り組まれています。
私たちの生活には、プラスチックを使ったものがあふれています。例えば、スーパーでお惣菜を買った時に入っているもの、シャンプーや食品の保存容器、歯ブラシなどの日用品に至るまで、数えればきりがないほどたくさんのプラスチック製品を使用しています。安価で丈夫なプラスチック製品は現代人の生活に欠かせないものになっています。
プラスチック製品の問題点の一つとして、環境ホルモンの影響が懸念されることにあります。環境ホルモンによる影響として、ガンやアレルギー、代謝の異常、糖尿病や発達障害、成長異常、生殖器異常、肥満の原因にもなりえるとされています。
また、大量廃棄されたプラスチックごみは、川から海へと流れ、野鳥やウミガメが餌と間違えて誤って食べることにより、命を落とすなどの問題も深刻です。魚が誤って飲み込むことにより、私たちの食生活や健康にも影響を及ぼしています。
日本は国民一人当たりのプラスチック消費量が世界2位と言われています。日々の生活の中で、できるだけプラスチック製品を買わない、代替品を探すなど努力をする必要があります。
国内での大きな動きとしては、レジ袋の有料化です。また、世界中で1.2億人が参加しているプラスチックフリージュライ(#plasticfreejuly)がというプラスチックを使わないエコ活動が有名です。
私たちは今、ほかの生物や環境にも影響を及ぼすプラスチックに頼る生活を見直す時期がきています。
参考資料:
プラスチックフリー,https://ideasforgood.jp/glossary/plastic-free/
海洋プラスチックごみから、海鳥を守ろう,https://www.wbsj.org/activity/conservation/law/plastic-pollution/
プラスチック・フリー生活,シャンタル・プラモンドン/ジェイ・シンハ/服部雄一郎訳, NHK出版
【お知らせ】代表レムケなつこが「プラスチックフリーJulyオンラインエキスポにゲスト出演します, http://iob.bio/journal/pfj-expo-2020/
文=鈴木結子